KADOKAWAアニメ・声優アカデミーは、業界にいちばん近いスクール。
講師は100%プロフェッショナルで、直接指導を受けることができます。
今回のオープンキャンパスの講師は、アニメ『オーバーロード』シリーズ アインズ・ウール・ゴウン役、『鬼滅の刃』煉獄杏寿郎役、『ハイキュー!!』澤村大地役など数多くご出演の日野聡さん。KADOKAWAアニメ・声優アカデミー講師・山本周子アナウンサーがインタビュアーとなって進行していきます。
―― 今年は、どんな1年でしたか?
日野さん(以下同)「さまざまな作品や番組に関わらせていただき、新たな発見がある1年でした!」
【1. 学生時代にすべき「インプット」とは?】
―― 声優を目指したのはいつ頃ですか?
「劇団在籍時にデパートの店内ナレーションのお仕事、テレビ番組の吹き替えのお仕事をいただいたのを機に、声のお芝居って面白いなと感じ、そこから徐々に声のお仕事が増えていきました。」
―― 最初のお仕事のときの忘れられないエピソードはありますか?
「番組としての最初の仕事は海外ドラマの吹き替えだったのですが、もちろん緊張もあり何日も前から台本も読み込んで練習していましたが…収録当日に入り時間を勘違いして遅刻するという大失態を起こしてしまいました…。同じ劇団の先輩である浪川さんが『うちの後輩をよろしくお願いします』と現場の諸先輩方に挨拶して下さっていたのに…。その時は、猛省しながらもう二度と声優のお仕事は出来ないだろうなと覚悟もしましたね。」
―― 忘れられないエピソードですね。日常生活で声優として心がけていることは?
「普段の生活の中で、街で皆さんがどういう会話をしているのか、些細な日常会話をすごく意識しています。これから声優を目指す皆さんがお仕事を始められると、まずほとんどの方が名前付きの役をいただく前に、物語を彩る街中の人達や生徒達などといった周りの役をいただくと思います。ガヤ収録の際には、セリフを決められていないことが多いので、アドリブのお芝居をする上で役に立ちます。なので、街中の会話で面白いフレーズがあれば、記憶にとどめておくと良いと思います。お芝居は“生モノ”だと思うので、日々吸収して、どう出せるかが大事だなと思います!」
―― 学生の間に、やっておくと良いことはありますか?
「作品をファン目線で見るのも楽しいと思うのですが、ぜひ同じステージに立つという強い想いで見てもらいたいと思います。私も当時、よく舞台・映画鑑賞に行った際は、自分が向こう側にいる景色をイメージしながら演者さん達の表現をインプットしていました。主観的に客観的に物事を見る、とにかく想像力というのを高めてほしいですね。あとは人とのご縁、人に好かれる自分というのを育んでほしいです。」
【2.声優としてのゴール】
―― では、お仕事をしていて辛かったことは?
「体調を崩したりして鼻声になったり、喉を壊してしまって納期内で全力のパフォーマンスができないときは心苦しいです。求められていることに応えられない、もどかしさはありました」
―― 喉の調子が悪いときの対策は?
「喉は、一回壊れてしまうと治りにくいので、普段からマスクをして、乾燥時期には加湿器を使います。耳鼻科で吸入の薬をもらったりもしていますね。現場を飛ばしてしまわないように、異変に気づいたら早めにケアした方がいいです」
―― 普段行っているルーティンはありますか?
「ルーティンは特に作っていないんです。強いて言えば、現場には30分前に行くようにしています。自分が落ち着かないというのもありますし、ギリギリに入りマイク前でお芝居をするとなるとバタバタして理想のパフォーマンスができなかったりするので」
―― 声優としてのゴールはありますか?
「ゴールを特に意識したりはしていませんが、年齢に合った役を、段階をふんで演じていきたいですね。70歳、80歳まで続けられたらと思っています」
【3. 在校生メンバーからの質問】
後半は、KADOKAWAアニメ・声優アカデミー在校生からの質問タイム。
―― これまでで、いちばん印象に残った現場は?個人的には、『銀魂』が好きです…!
「ありがとうございます。私にとってはどの作品も印象深いですね。
『銀魂』では、神威という中性的な容姿で戦闘狂な役を演じました。ニコニコして本心がわからないミステリアスさなど、声優として新たな道を切り開くチャレンジとなる出会いでしたね」
―― 台本を読むことに必死になってしまいます。アニメのお芝居のとき、上辺の音だけで演技しないようにするためのヒントをいただけますか。
「この役柄はこういう声のイメージ、と思い込んで演じてたりしませんか?まずは、自分の持っている楽器(声の特徴)をちゃんと知ることが必要です。その上で、今は無理なく自然体で演じられる声で、役にとっての“自分のベスト”を見つけてください。声を作るほうに意識をおくのではなく、あくまでもその台詞の意図と意味を第一に考えていければ、上辺の演技ではなくなると思います」
―― 業界で長く生き抜くために、どのような気持ちで、何を大切にしていくと一生の仕事として頑張れますか?
「私自身も、まだ一生をかけて頑張っている最中ですが……決して自分一人では成り立たないお仕事です。共演者、スタッフの皆様への感謝の気持ちを忘れずにもっていてほしいです。最近では声優も表に立つことが多く、一見華々しく見える仕事かもしれませんが、作業としては大半が台本チェックなど地味で細かな作業の連続です。表に出る仕事に関しては、あくまで作品作りにおいての宣伝を担わせていただいている、という考えを個人的には常にもっています」
―― 最後に、業界を目指す皆さんに激励メッセージをお願いします!
「皆さまとお話できて楽しかったです。声優・アニメ業界を目指す皆さんには、無限の可能性があります。私が劇団で師に言われたことのひとつに、『目標に挑戦する期限を設ける』という言葉があります。声優に挑戦する上で明確にチャレンジする年齢の期限を自分で決め、そしてその期間内で自分のできる全力を尽くしてください。ずっと夢を追い続けるのも良いことではありますが、人生において決して現実的ではないことだとも思うので。皆様が夢を叶えて今後現場でお会いできることを楽しみにしております!」と締めくくりました。