『陰の実力者になりたくて!』の原作者、逢沢大介先生・漫画家、坂野杏梨先生トークショー

大阪校
マンガ学部

2024年5月6日(月)、『陰の実力者になりたくて!』の原作者、逢沢大介先生・漫画家、坂野杏梨先生がKADOKAWAマンガアカデミー主催の「原作者・漫画家特別トークイベント」が、TKPガーデンシティPREMIUM心斎橋(大阪会場)で開催されました! 

東京会場と名古屋会場からもオンライン中継され、アニメや漫画に興味のある中高生を中心にたくさんの出席者が参加しました。

今回の目玉企画の1つ、『陰の実力者になりたくて!』の原作者・逢沢大介先生と、漫画家・坂野杏梨先生から直接お話を伺えるプレミアムなトークショーの様子をお届けします。

・小説家や漫画家になるにはどうしたらいいですか?

逢沢先生によると、作家として成功するために一番大切なことは「楽しむ」こと! 

「人間ってある程度は『頑張れる』生き物だけど、頑張り『続ける』ことは難しい。でも、楽しいことなら続けられるし、自分で調べて、工夫して能動的な取り組みができる」

そして、ご自身の例を挙げられました。「自分の場合はゲームが好きだったから、例えば、(ゲームで勝つために)クリック速度をどうしたら速くできるかを真剣に考えたことがある。好きじゃないと絶対にそんなことを考えませんよね。でも、楽しいから自然と極めたいと思う。世の中は結局、楽しんだ人が勝つ。だから、(若いみなさんには)楽しむ方法を探してほしいですね! 」

一方の坂野先生は、「商業漫画という意味では、描き続けること、辞めないことが大切です。私の場合、連載が始まったのは10代でした。そのあと就職しましたが、漫画は描き続け、投稿と持ち込みを続けました。すると、短期の連載など仕事をもらえるようになってきました」と漫画家になるうえで大切なことを語ってくれました。

・モチベーションの秘訣とは?

逢沢先生いわく、仕事のモチベーションは、「罰」か「報酬」の2種類に分けられるそうです。

「罰」とは、しなければ叱られる、お金がもらえないなどです。

一方の「報酬」とは、お金だけではなく、感謝や喜びの声も含まれます。それで、「罰で動く時間(~しなければいけない)」を減らし、「報酬で動く時間(~したい、~が楽しいからする)」を増やすことが、人生において大切だと教えてくれました。

坂野先生は「生活費に追い込まれるというのもあるかなと思います。嫌でも描かざるを得ない状況に自らを置くというのも1つの手だと思います」とモチベーション維持の秘訣を明かしました!

・楽しむためにはどうしたらいいですか?

当然、「楽しむのが難しい」という人もいるでしょう。その場合の秘訣は何かと問われ、逢沢先生はこうアドバイスしました。

「自分がピーマンを嫌々食べているときに、同じピーマンを大好きで食べている人がいることを考えると、自分ってなんだか損していると思う。それなら好きになったほうがいいよなと思うようになって、だんだん嫌いなものが減っていった。嫌なことでも、楽しいところがあるかもしれないというアンテナを張ることが大切。そして、今自分が持っているものに感謝することを忘れない。それが物事を楽しむ秘訣かなと思います」

・ネガティブなコメントや感想にどう向き合うか?

ネガティブなコメントや感想にはどう向き合うべきかという質問に対して、逢沢先生の回答は以下の通りです。

「ネガティブな感想を見ると、それが全員の意見のように思い込んでしまいがちだけど、そういうときは100人のうちの何人なのか、考えるとよいと思う。例えば、100人のうちの2%以下かもしれない。大半は喜んでくれていたり、ポジティブな感想を持ってくれたりしている。そうやって一歩引いて見渡せば、そう深く落ち込むことはないかなと思います」

・執筆途中の訂正や見直しのベストタイミングは?

さらに、執筆作業での訂正のタイミングについても質問がありました。つまり、ある程度書いては消して‥を繰り返してしまう、という悩みにどう対処すればよいでしょうか。

逢沢先生によると、「書き直すという作業を繰り返すこと自体は悪くありません。プロになると、なかなかできなくなるので、ぜひ今のうちに思う存分やってみるのも1つの手です。最初のころは、書き直して、良くなったと思えることが多いはずです。

それは進歩しているわけなので、とことん書き直したらよいと思います。でも、どこかで効率が悪くなるときがあります。グルグル回って進歩がない状態になったときは、一旦区切りをつけましょう。

それ以上は、悩んでも意味がありません。その状態で人間が悩むときというのは、決まって1つの状態です。それは、自分の中に答えがないということです」

そんなときは、外部からの刺激を得ることが有効だそうです。

「KADOKAWAマンガアカデミーの場合は講師に意見を聞いてみたり、運動や散歩、睡眠で体を整えたり、美味しいものを食べたりして、とにかく外部からの刺激を得ることです。例えば、今みんなが100mダッシュしたらどうなると思いますか。血流がよくなって、いろいろなアイデアが生まれると思いますよ!」

坂野先生も付け加えました。「私の場合は、一旦手を止めて、参考になりそうなアニメや映画を見ます。自分の中に必要な引き出しや資料がない、どう書いていいかわからないときは外部に出て行くことで、新たなヒントが得られるということがあります」
他にも、ストーリーの内容はどこから考えるか、漫画を描くときに一番気をつけること、陰実の誕生秘話、先生方の1日や1週間のスケジュール、担当編集者さんはどのような人か、使っているツール、今後やってみたいことなど、書ききれないほど、たくさんのためになるお話を伺うことができました。

終盤では、先生方のおすすめ作品を教えてくださいましたよ。

逢沢先生は『スラムダンク』を挙げられました! 理由は、「物語に必要なものすべてが詰まっている」からだそうです。

一方の坂野先生は、先生が漫画家を目指すきっかけになった『鋼の錬金術師』をおすすめされました。小説家・漫画家志望の方はぜひ読んでみてくださいね! 


あっという間の80分でしたが、次世代を担うアニメ・漫画ファンのみんなにとってとてもためになるトークショーでした。
逢沢先生、坂野先生、ありがとうございました!

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