KADOKAWAアニメ・声優アカデミー東京校では声優の業界への進路を考えている中学生・高校生のみなさんを対象としたスペシャルオープンキャンパスを開催しました。
この日は、人気声優の金田朋子さんによる模擬オーディションの体験授業とトークショーの二本立て。その様子をレポートします。
■金田さんの丁寧で優しい講評に参加者も笑顔
金田さんは大きな拍手に迎えられながら笑顔で登場。
緊張した様子の参加者に対し、「私も失敗ばかりしてきました。だから緊張しなくていいですよ!リラックスして臨んでください!」と呼び掛けました。
金田さんはアニメ「おしりかじり虫」のおしりかじり虫、「あずまんが大王」の美浜ちよなどを演じる他、ナレーションやタレント活動など幅広く活動しています。
体験授業では、参加者をグループに分け、模擬オーディションを実施。アニメのセリフ2つ、ナレーション2つからそれぞれ1つずつ選んで演じ、それを金田さんに講評いただきます。
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金田さんは参加者の個性を大切にしながら、技術的な講評を行いました。
その上で、「台本にしっかりと書き込みをしていて偉いね!」「落ち着いていてすごい」など、演技以外の点においても参加者を褒めてくださいました。
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「声優といってもアニメ、吹き替え、ナレーションなどの仕事があります。ナレーションでもキャラナレ、ドキュメンタリーなどさまざまです。例えば、アニメは少し誇張して、日常では聞こえないような呼吸を表現することもありますが、すでに俳優が演技をしている吹き替えでは、誇張をすると不自然になりますよね。それぞれの仕事で役割が異なるので、表現も当然変わります。自分はどのようなことが得意なのか、やりたいのかを勉強しながら見つけていってください」
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体験授業の冒頭は緊張した表情だった参加者も金田さんからの講評で笑顔がこぼれます。
模擬オーディション終了後の参加者たちは、「すごく楽しかった。もう1回やりたい!」と話したり、参加者同士で反省点を口にし、早速修正を加えたりしていました。その様子から、今回の体験授業でのモチベーションの高まりが伝わりますね!
■ためになる話をたくさん聞けました!
模擬オーディション後は、トークイベントを実施。金田さんが参加者の質問に答えました。
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――声優を目指したきっかけは。
社会人として働いていた際、クレーム対応などで謝罪をしても、特徴的な声が理由で反省していると思ってもらえないことがありました。
要は一般企業に向いていなかった(笑)
仕事以外の時間で何か習い事をしたいと思い、日本舞踊、ダンスなども学べる養成所に入りました。そこでプロダクションに入るためのオーディションに合格し、声優になりました。
だから、声優は目指したというより、流れに乗った結果です。
皆さんは自分の意志で「声優になる」と決め、本日のオープンキャンパスに参加しています。それだけで皆さんはすごいと思います。
――声優になって印象的だった出来事は。
今はKADOKAWAアニメ・声優アカデミーをはじめ、声優を養成する機関がたくさんあります。
私は初めての現場でようやくアニメのアフレコを実践的に行いました。
だからマイクの出入り、アニメの口パクの合わせ方などがうまくいかず、大失敗でした。
そのことが強く印象に残っています。
みなさんにはうらやましい環境が用意されているので、そこでの勉強をしっかり行なってください。
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――役作りをどのように行なっていますか。
私、人間役があまりないんですよ(笑)
「No」の一言だけで喜怒哀楽の全てを表現しなければいけない役を引き受けたときは、すごく悩みました。
そこで、日常で実践してみようと思い、実家の母親とのやりとりを全て「No」で行なっていたところ、心配した母に危うく病院へ連れていかれるところでした(笑)。
このように日常で実践したり、役に近いような人を観察したりしてみるのもいいと思います。
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――学生時代にやっておくといいことは何でしょうか。
ドラマ、演劇、映画、ものまねなど、他人の演技を見るのも勉強になります。
「最初は他人の真似でいい」と言う声優会の先輩もいるくらいです。
まずは見て、真似して、そうしているうちに自分の引き出しも増やせるのではないでしょうか。
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――役に命を吹き込むときに大切にしていることはありますか。
技術も大切ですが、私はあまり器用ではなく、パクに合わせるのは今でも苦手です(笑)
ですが、演じているときに湧き出る感情を表現することは大切にしています。
しっかりと勉強をすれば技術、感情の両方を身につけられるので、みなさんは勉強を頑張ってください。
――最後に参加者へ向けてメッセージをお願いします。
みなさんの周りにはこの業界に進むことを反対する大人の方も多いと思います。
実際に声優仲間から話を聞くと、多くの人がご両親や学校の先生に反対されていました。
でも、本気で頑張れば、その姿勢は周りにも伝わります。
「夢が逃げることはありません。」
でも、諦めたら、みなさんが夢から逃げることになります。
声優以外にやりたいことが見つかったら、そこを目指すのもいい。
でも、声優になりたいのであれば、後悔がないように頑張ってください。
将来、ここに集まってくれたみなさんと現場で会えることを楽しみにしています!」
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金田さんの明るさと話術に、会場からは笑いが沸き起こることも。
熱心にメモを取る参加者に対して金田さんは、「熱心で偉い!」とねぎらい、最後まで楽しそうに話をしてくれました。
今回のオープンキャンパスが、参加者のみなさんの夢を叶えるきっかけや気付きになっていたら幸いです。