25.07.25 25.07.24 更新

【産学協同プロジェクト】「Studio KADAN」制作アニメキャラクターコンペティションに、 在校生が参加!優秀作品の表彰式を実施!

イベント
東京校

今回はKADOKAWAグループのアニメ制作スタジオである「Studio KADAN」が在校生を対象に実施した、オリジナルアニメのキャラクターデザインコンペの表彰式の模様をご紹介します。

アニメーションに興味がある学生にとっては、プロの視点で自分の作品を見てもらえる絶好の機会です!

左から酒井様、瀬下監督、森山様

【1.「Studio KADAN」とは?】

日本を代表する3DCGアニメーションとVFXを手掛ける会社。Netflixアニメ『GAMERA ‐Rebirth‐』、TVシリーズ『シドニアの騎士』、『シドニアの騎士 第九惑星戦役』などを手がけた
日本を代表するアニメーション監督・瀬下 寛之氏を中心とした制作スタジオです。

VANTANと同じ「KADOKAWAグループ」というご縁で、今回の産学協同プロジェクトが実現しました!
審査を務めた3人のクリエイターに、東京校にお越しいただきました。

【PROFILE】
瀬下 寛之氏:1967年生まれ。
1980年代から様々な分野のCGやVFX、『ファイナルファンタジー』シリーズなどのゲームムービー制作に従事。
2010年代にはNPR(ノンフォトリアル)スタイルのセルルックCGアニメ製作に進出。TV シリーズ 『シドニアの騎士』、『シドニアの騎士 第九惑星戦役』、『亜人』や劇場アニメ『BLAME!』、『GODZILLA』三部作、『GAMERA -Rebirth-』などを監督。

瀬下監督「アニメーション監督の瀬下です。この度は皆さん、素晴らしい作品を応募していただきありがとうございます。とても丁寧な仕事で、すべて良かったです。それぞれのやる気、意気込みを受け取ることができました。我々にとっても面白い企画になりました。今回選ばれなかった人も、決してめげることなく、自信をもってコツコツ勉強をしていってください!」

制作部 酒井様「今回の企画を実施したときは、応募作品がなかったらどうしよう?と思いました。皆様の溢れる情熱にふれ、目もくらむ想いで楽しく選考させていただきました。本日はどうぞよろしくお願い致します!」

制作部の酒井様

制作部 森山様「プロダクションデザイナーをしております。
皆さんが出した作品は熱意に溢れたもので印象に残りました。進行中のプロジェクトだったので感化されることがありました。参加してくださりありがとうございます!」

【2.極秘プロジェクト!作品の概要は?】

瀬下監督「KADOKAWA が製作する全12話のオリジナルアニメシリーズで、鋭意制作中です。作品内に登場するクリーチャーを描いていただくコンペティションですが、ストーリーの全貌は、まだ極秘です。皆さんにどれだけ情報を提供できるか悩みました。皆さんが将来携わる実際の仕事でも、公表前には全ての情報を知らせてもらえない事があります。ですから、クライアントがどういうものを求めているのか、少ない情報から分析して、提案することの経験や能力も重要です。正直プロの目線からも難易度の高い仕事ですが、リアルな現場の仕事を経験していただきたく、今回チャレンジしていただきました

【3.佳作入賞 専門部3年制CGアニメーター専攻 Tさん】

佳作は、Tさんの「上鎌十文字槍」に決定!Tさんは、大阪校のためオンラインで参加。
また、皆さまから総評をいただきます。

森山様「今回のテーマに落とし込んで絵にするのは難しいことですが、上手にやっていただきました。
キャラクターに持たせてみたいと思う要素が揃っていました!」

酒井様「難しいモチーフを選び、具体的に取り組まれていました。着眼点も良かったです」

瀬下監督「武器に、『特徴がある』点が面白かったです。魅力的なシルエットでした!」

Tさん「佳作という賞をいただきありがとうございます。
人物や衣装デザインしかしたことがなかったので、人物以外をデザインすることが楽しかったです。
学生のうちから貴重な機会をいただき、ありがとうございます。作品が公開されるのを楽しみにしています!」

【4.佳作入賞 専門部3年制CGアニメーター専攻 Mさん、Dさん】

専門部3年制CGアニメーター専攻Mさん、Dさんの作品は
古くなり使われなくなった「砧(きぬた)」。

酒井様「チームで制作されたことが素晴らしいです。ディスカッションしながらこのデザインを生み出されたことが垣間見えました」

森山様「設定をつめたことが感じられ、キャラクターとして最も練られていました。魅力的な作品に仕上がっていると思います」

瀬下監督「クリエイターは一人でやることを好む人が多い中で、チームでアイデアを出し、ぶつけ合うという機会がとても良い経験になると思います。今後とも頑張ってください!」

応募作品のため、ぼかし処理をしています

Mさん「このような賞をいただきありがとうございます。なんとしても使われたい!
という想いで、使いやすいキャラクターを作ることに全力を投じました。目指したことが実現でき、良い機会をいただきました」

応募作品のため、ぼかし処理をしています

Dさん「この度は、素晴らしい賞をいただき嬉しく思っております。
チームで作る大切さを改めて知ることができ、良い経験になりました、ありがとうございます!」

【5.優秀賞 高等部3年制アニメーター専攻・Tさん】

そして、優秀賞に輝いたのは、Tさんの「彼岸鳥」!
森山様「Tさんの作品は、最初に提出した作品から、フィードバックを経てアップデートされました。
フィードバックにアンサーを返していくのはデザイン業務そのもの。魅力的な作品を作ってくださり、ありがとうございます」

酒井様「すごくガッツのある人だなと思いました。多数のバリエーションをあげていただき
コンペの期間だけでも成長・吸収をしているのが手にとるように感じられました」

瀬下監督「私も皆さんと同い年くらいのときは、提出した仕事を何度も何度もリテイクされていました。今もクリエイティブの厳しさはいつの時代も変わらずです。私の場合、リテイクはもちろん大変だったのですが、心のどこかでその状況を楽しんでいました。苦しくなって業界を辞めていった人々との違いは、ひとつにはその点だと思います。重要なのは、リテイクも楽しめるようなメンタルと夢中になれる楽しさを探すこと。この方からはそういったことが感じられました」

応募作品のため、ぼかし処理をしています

Tさん「このような素敵な賞をいただきありがとうございます!」

【6.優秀賞 高等部3年制アニメーター専攻 Sさん】

「巾着をモチーフにした澱(おり)」を制作したSさん!

森山様「キャラクターがどのように生活し、動くのか手に取るように分かりました。“淀み”などもキャラクターに落とし込まれていながら、可愛く表現されていて、心に刺さりました」

酒井様「キャラクターの可愛さだけでなく、畳の目に至るまでしっかりと描かれていました。
自分の表現のために手を抜かないところが素晴らしいなと感じました」

瀬下監督「商業アニメの世界でデザインに求められることは何かというと、『ストーリーや世界観を魅力的に説明すること』です。つまりただ上手な絵ではなく、ストーリーを語ることができる絵が求められます。表現すべきことが何なのか、これからも対象を分析し理解していってください」

応募作品のため、ぼかし処理をしています

Sさん「この度は、素晴らしい賞をくださって本当にありがとうございます。
コンテストに参加することが初めてでしたが、褒めていただけて、また優秀賞を受賞できて嬉しいです」

【7. 最優秀賞 高等部3年制アニメーター専攻 Sさん】

そして、最優秀賞に輝いたのは、高等部 3 年制アニメーター専攻 Sさん!!

応募作品のため、ぼかし処理をしています

酒井様「応募要項をよく理解しデザインしていただきました。『もしかして、脚本を見ているのかな?』
と思うくらい、こちらが意図していることを読み解いてくれました」

森山様「第一印象で『人に伝えるためのデザイン画だな』と感じました。可愛らしく、キャラクターのシルエットも印象的でした」

瀬下監督「Sさんの作品に才能を感じます。コンセプトを伝達する『コンセプトデザイン』という行為において非常に優れています!勘違いされやすいので説明しますが、デザインはアートではありません。デザインはあくまでも資料で、アートは材料です。

例えば、『設計図』は、何を作ろうとするか伝える資料であり、屋根を作る材料にはなりません。

資料は間接的材料で、材料は直接的材料です。
デザインは、何を作ろうとしているかコンセプトを伝えることです。Sさんの前、後ろなど色んな方向から説明しているのは商業映像における行為に即しています」

Sさん「可愛くて親しみやすいキャラクターをイメージして描きました。このような賞をいただけて本当に嬉しいです!ありがとうございます」

応募作品のため、ぼかし処理をしています

【8.「アニメキャラクターコンペ」に参加したメンバーの皆さんへ。クリエイターとしての心の持ちようとは?】

酒井様「多数の方にご参加いただいたこと、心より感謝申し上げます。
参加していただいたすべての作品から、若い情熱・才能を感じました。ありがとうございます」

森山様「コンペを通して見えたことは、絵に伝える力が宿っている作品が賞をもらっているのではないかなと思います。
『見る人がどう感じるのか?』を考えて制作していただけるとより良い作品ができると思います。今回参加していただき、ありがとうございました」

瀬下監督「今回のコンペに参加していただき本当に感謝しています。まず、ふたつ、驚いたことがあります。
ひとつめは、賞に選ばれなかったアイデアの中に、我々が元々考えていたラスボス的なクリーチャーの着眼点に近いものがあった事です。

ただ、プロを目指す学生さんに伝えたい『デザインの作法』については他作品のレベルに達していなかったので、残念ながら、その作品は入選に至りませんでした。着眼・発想と、デザインとして実現させる事は違うのです。例えるなら、『かわいいネズミのキャラクター』という発想が出ても『ミッキーマウス』のデザインに
易々と至るわけではないということです。
ふたつめは、入選作品の中で、実際に作品の中に採用するかも知れないデザインが 1つ2つあることです。最優秀、優秀、佳作と賞の優秀性に関係なく使われる可能性があり検討中です。

クリエイターとしては、さまざまな生き方があります。もちろん一人で作品を作っていくような孤高の作家を目指してもいいですが、多くの皆さんは商業ア
ニメーションの世界へと進むと思います。そこではチームで作品を生み出すことが基本です。

ですから、仲間とのコミュニケーション、何より丁寧に伝えるということがとても大切です。

今回の経験をもとに、より能力を高めていかれたら商業の世界で通用すると思います。今後も頑張ってください」と激励し、締めくくりました。

Studio KADANの皆様、貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございます。

在学中から、プロフェッショナルとしての実践力を身につけ、デビューを可能とするプロジェクト。今後の展開にも、期待がかかります!

受賞された皆さん、改めておめでとうございます!

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