「自分と真逆の役でも、共感できる要素を探す」TVアニメ【推しの子】アクア役・大塚剛央さんが語る、声優デビュー10年で見えた境地とは?
TVアニメ【推しの子】コラボオープンキャンパス期間中の特別イベントとして、アクア役を務める声優の大塚剛央さんによるスペシャルイベントが開催されました。トークショーと公開アフレコの2部構成で、アクア役が決まった日のこと、声優、そしてオーディションとの向き合い方が語られます。後半では、メンバーからの質問に一つひとつ答えていただきました。
【目次】
1.アクア役が決まった日のこと
2.手応えは、まったくあてにならない
3.声優という道を考えたのは、21歳のとき
4.この世に無駄なことは何もない
5.自分と真逆の役でも、共感できる要素を探す
6.作品をより良くしようとする姿勢
7.アクアのボイスを公開アフレコ
8.エンディング
1.アクア役が決まった日のこと
「改めまして、大塚剛央です。僕なりにいろいろなお話をお伝えできたらなと思います」
――【推しの子】への出演が決まったときのことを教えてください。
「マネージャーから電話が来て、ガッツポーズをしたのを覚えています。オーディションを受けてからずいぶん時間がたっていたので、ダメかなと思っていました。嬉しさもありましたが、驚きのほうが大きかったです」
2.手応えは、まったくあてにならない
アニメ、ゲームなどの出演オーディションでは、音声を送るテープ審査と、音響監督らが立ち会うスタジオ審査を行うことが一般的です。
――スタジオ審査の手応えは?
「特に大きなディレクションはなく、本番もスッと終わったので、なにも引っかからなかったのかな?と感じました。デビューして10年になりますが、オーディションでの、自分の手応えはまったくあてにならないなと感じます」
――役づくりで意識したことは?
「発売されているマンガ【推しの子】に、アクアを形づくるいろいろな材料がちりばめられていて、役づくりのキーになると感じて読み込みました。収録が始まってからは、第1期1話の約90分、ほとんどのシーンで現場にいさせていただき、そこから自分の役にフィードバックしていきました」
3.声優という道を考えたのは、21歳のとき
――声優を目指されたきっかけは?
「実は、昔から声優になりたいと思って過ごしてきたわけではないんです。
21歳、大学3年生の時に就職活動で説明会に申し込んで会場に向かったら、「キャパシティーオーバーで入れません」と言われ、就職活動そのものが嫌になってしまって…。(笑)
そこで改めて自分の将来について考えたのが大きなきっかけでした。もともとゲームは好きだったのですが、「キャラクターに声を当てること」と「仕事」が結びついていなくて。調べる中で初めて声優というお仕事があるんだ、楽しそう、やってみたいと思いました。最初は声優を目指すことも親には黙っていました。反対されるのはわかっていたので、養成所に通うことが決まってから伝えましたね(笑)」
――初めてのお仕事は?
「劇場版作品『GANTZ:O』の収録です。アニメのアフレコの流れもなにも知らないまま、仕事で初めてマイクの前に立ちました。モニターの下に座っていたのですが、出番が終わって席へ戻るときに頭をガンとぶつけた記憶があり、『こんなに緊張していたんだ』と思いました」
――日常生活の中で、声優として気をつけていることは?
「健康第一です。我々の仕事は、少しでも声に変化があると仕事に影響してしまうので、体調管理は気をつけています。
他にも、決して特別なことではありませんが、ふとしたときに周りのものを見たり聞いたり観察しています。いろいろなことに疑問を持つことによって、自分に蓄積されるものがあると思います」
4.この世に無駄なことは何もない
後半は、参加した在校生からの質問に答える時間になりました。
――高校時代、大学時代にやっておいてよかったことは何でしょうか?
「やっておいてよかったことは、すべてです。!
この世に無駄なことは何もないと思います。無駄と思うかどうかは、周りが決めることではなく自分次第です。きっと経験に遅いことはありません。やらなければいけないと思うよりは、楽しんで自分の糧にしてください」
5.自分と真逆の役でも、共感できる要素を探す
――演じる役が自分とは真逆のキャラクターという時に、意識していることは?
「そういう役ばかりだと個人的には思っています。それでも自分と何か共通しているもの、要素があるんじゃないかと探っていって、その共感する部分を膨らませていく。まずは共感しないことには、自分の中から何も出てこないですよね」
――KADOKAWAアニメ・声優アカデミーで演技を学んでいます。インナーモノローグ(声に出さず、心や頭の中で考えていることや、自分自身に話しかける言葉のこと)を演じるのがとても難しいと感じています。アドバイスをお伺いしたいです。
「僕もすごく苦手でした。差がつかないのは、対象がはっきりしていないからじゃないかなと思います。いまはどういう状況なのか、誰とどういう距離感で話しているのか、物理的にも心理的にもその距離感が落とし込めると良いと思います」
6.作品をより良くしようとする姿勢
――伸びる新人声優さんの共通点を教えていただきたいです!
「僕自身10年しかやっていないですが、現場でお会いしていいなと思う方は、いい意味でアグレッシブです。現場の空気を壊さずにチャレンジしているように感じます。作品をより良くするのに、その姿勢はとても大事だなと思います。と同時に、周りの空気を読むこともすごく大事な要素です」
――オーディションに落ちて落ち込んだとき、メンタルはどう保っていますか?
「オーディションは、落ちるものです。真剣にのぞんでいるぶん、落ちたら悔しいですよね。ただ、お芝居は良かったけれど声質がキャラクターには合わなかった、全体のバランスを見て僕じゃない、など選ばれない理由はさまざまです。今の僕は、自分の力の及ばないところを考え込んでいても仕方がないと思っています。もし何かモヤモヤするときは、歩くことでリフレッシュしています。人によっては、誰かに話したほうがすっきりすることもあります」
――オーディションの中で大切にしている軸があれば教えてください!
「自分の思ったものをしっかりとやり切ることです。例えば、オーディションで求められたセリフに対して『こういうキャラクターはこういう声になるだろう』という文脈の解釈も大事ですが、それだけではそのキャラクターの内面にまで寄り添うのに十分ではないと思うんです。オーディションの段階からキャラクターの心情を、与えられたなかでしっかり前後を理解して、なぜこのセリフが出ているのかを考える。それは受かるためというよりは、この仕事をするうえで大事なことなんじゃないかなと思います」
7.公開アフレコで届いた、アクアのボイス
続いて行われたのは、公開アフレコ。演じたのは第1期2話で、アクアがルビーに諭すシーン。「アイドルを夢見るのは構わんけどさ…アイドルに夢を見るなよ」。
続いて、第3期最終話の名シーン。「…やめろ。復讐に囚われて生きるなんて、自分自身を不幸にするだけだ」
先ほどまでの和やかなムードから一転、会場に【推しの子】のアクアが確かな存在として登場すると、アクアの声に心を打たれハンカチで涙をぬぐう参加者も。
「通常のアフレコ現場では、声優の皆さんと一緒に作り上げていきます。今回は特別なケースですが、求められたものに臨機応変に対応できる力も、この業界でとても大事です」と話します。
8.エンディング
――最後に、これからアニメ・声優業界を目指す人に、メッセージをお願いします!
「真剣に業界を目指されている姿勢が感じられて、とてもうれしいです。楽しいことを突き詰めて、まい進していってください」
【推しの子】のファンやアニメや声優に興味のある参加者にとって、とても貴重なイベントとなりました。
KADOKAWAアニメ・声優アカデミーには、第一線で活躍するプロフェッショナルから技術だけではなく現場のリアルを直接学べる環境が揃っています。
将来アニメーターや声優として活躍したい方は、スクールのカリキュラム、雰囲気を体験しにオープンキャンパスに足を運んでみてください。
【PROFILE】
アイムエンタープライズ所属。TVアニメ「風が強く吹いている」蔵原走役、「メダリスト」明浦路司役、「薬屋のひとりごと」壬氏役などを務める。2020年、第14回声優アワード新人男優賞を受賞。 TV アニメ「【推しの子】」ではアクア役を担当。