25.12.23 26.04.23 更新

現役編集者が語る!KADOKAWA編集部特別座談会から見えた「作家に求められる力」

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2025年12月7日、バンタン大阪校 心斎橋5号館にてKADOKAWA編集部の現役編集者による特別座談会が開催されました。
将来クリエイターを目指す若者を前に、マンガ、Web雑誌、ライトノベルの各分野を牽引する編集者が登壇。業界の動向から、編集者が共に仕事をしたいと願う「作家像」まで、実践的な知見が語られました。

当日は、KADOKAWAの編集部から万木壮さん、赤坂泰基さん、そして岡崎秀宇さんの三名にご登壇いただきました。

激変する市場:電子とWeb発作品の台頭

まずテーマとなったのは、この10数年での業界の市場変化です。

赤坂さんは、入社して数年で登場した電子書籍の存在が最も大きいと指摘しました。かつては「重版がかからないと続かない」と言われた紙の書籍に対し、現在では「電子での売上も編集部でしっかり評価されている」と明言。ここ数年で電子書籍の市場規模は紙の書籍を上回っています。

ライトノベル分野を担当する岡崎さんも、ここ5年ほどの大きな変化として「UGC(User Generated Content)」、すなわち「小説家になろう」や「カクヨム」といったWeb投稿サイト発の作品がデビューの大きなルートになったことを挙げました。新人賞が年2回などタイミングが決まっているのに対し、Web発作品は「いつでも編集者の目にとまり、本を発売できる状況」が生まれています。

現在のトレンドについては、岡崎さんは読者がPCやスマホで読むようになり、誰もが持つ「共通の認識・お約束」としての異世界転生モノが大きくなったとしつつ、「特定のキーワードやテーマがあるわけではない」と分析。「自分の得意なジャンルをいかに伸ばしていくか」を、戦う場所として考えるのが効果的だと強調しました。赤坂さんも、大きなスパンで見ればトレンドはそれほど大きく変わっておらず、「トレンドの外れ値が自分の持ち味になる」と、個性を持つことの重要性を説きました。

編集者が求める作家像:3つの力と「好き」の追求

本日のメインテーマである「編集者が求める作家像」について、登壇者からは切実な意見が出ました。

万木さんは、創作に求められる能力の根幹として「生活してください」と述べました。同じ生活を送っている人はいないからこそ、それがオリジナリティになるという意見です。

岡崎さんは、現役作家からの言葉として「作家には3つの大切な力がある」を紹介しました。それは「スピード、クオリティ、人間力」。このうち2つができていれば、編集者が必ずサポートしてくれるとのこと。また、岡崎さん自身は新人作家に対し、自身の「好きを詰め込んだキャラクター」から書いていくことを推奨しています。

赤坂さんは、漫画家には「絵」「物語」「ネームを作る能力」の3つが必要だが、全てを平均的にこなすのは難しいと指摘。担当編集者と話し合い、どれか一つ「これに賭けてみよう」という分野を重点的に伸ばしていくのが良いと、打ち合わせを通じた成長の重要性を語ります。

万木さんは「とにかく人に感想を求める」作家としてのスタンスや、「世の中だけでなく人に興味を持つ」ことの大切さを強調しました。

学生時代にやっておくべきこと

未来の作家たちへのエールとして、「学生時代にやっておくべきこと」が語られました。

岡崎さんは、売れているものだけでなく、「違うジャンルだったり年代の作品に触れておけば良かった」という作家の声を紹介し、興味のないジャンルにこそ名作が埋まっているとして「視点を広げる」ことを提言。

対して赤坂さんは、「とにかく新しいものを見て」と、最新のヒット作品には何かしらの意味があるため、常にチェックしておくべきだと述べました。特に絵柄については「絵柄の更新は難しいので、常に新しい絵、流行っている絵を参考にすべき」と推奨しました。また、マンガ志望者向けには、学生時代に「マンガ作成ツールの使い方」や効率的なテクニックをひと通り身につけておくべきと助言しました。

編集者との関係と「報連相」の徹底

作家と編集者の関係づくりについても言及がありました。

昔は作家の部屋に泊まり込むほど距離が近かったという万木さんの若いころから、現代はパソコンでの執筆とメールが主流になり、付き合い方のツールは多岐にわたるようになったと変化を説明。現在はLINEでのやり取りが多いとのことです。

そして、一緒に仕事がしたいと思える人に共通している点は、満場一致で「報連相がしっかりしている人」でした。突然連絡が取れなくなるのは困る、と編集者としての切実な悩みを吐露。また、赤坂さんは、編集者の言葉を汲み取るだけでなく、「アレンジして、もっと良いものを作ってくれる、剛速球を投げ返してくれる人」を求めていると語りました。岡崎さんは、作家・イラストレーター・デザイナーとの「相互リスペクト」がある人と仕事を続けていきたいと、本づくりにおけるチームワークの重要性を強調しました。

最後に、編集者の仕事のやりがいについて、岡崎さんは「自分の価値観が肯定されたと感じる」こと、赤坂さんは「世界で一番先に作品を読める」こと、万木さんは「ゼロから一を作って、セリフなんかが反映された時」と、それぞれ熱く語りました。

赤坂さんは「創作活動は今の時代に日本というのが、ほぼほぼベスト。目指す価値のある仕事です」と締めくくり、万木さんは「自分が一番好きな物語を作ってください。エンターテインメントは楽しむのが一番です」と、会場に集まった未来の作家たちへ力強いエールを送りました。

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