KADOKAWAマンガアカデミーのイラスト分野を志望する方に向けたサマーセミナー!
今回は漫画配信サービスの「GANMA!」にて『女子力高めな獅子原くん』を連載されている漫画家「相舞みー先生」をお招きし、ライブドローイングを実施しました。
司会進行は、KADOKAWAマンガアカデミースタッフの徳永が担当。徳永はかつて他の専門学校で教員をしていた頃、相舞みー先生の指導をしていたため、お話のなかでは当時のことや、今のKADOKAWAマンガアカデミーでの学びの環境についての話も交えながら進められました!
■相舞みー先生登場、まずは一問一答から
相舞みー先生が拍手で迎えられ、イラストを描く前に一問一答で質問に答えていただきます。
ー漫画家を目指したきっかけは?
「幼い頃から漫画家になりたいと漠然と思っていましたが、コマ割りをしたり背景を描くことが苦手だったので、イラストレーターを目指そうと思い、専門学校の体験に行きました」
「そのときに苦手なことを率直に話したら『教えてあげるよ』と言われて、漫画家を目指すようになりました」
ーデビューに至るまでに頑張ったことは?
「専門学校を卒業して1年以内くらいにコミカライズ連載が決まって、漫画家としてデビューできました」
「それまで頑張ったことといえば『毎日描くことを欠かさない』ということや『1枚でも新しく何かに取り組む』ということです。例えば絵を描くときには、人体を描く練習をしたり、漫画のときはネームを切ったり、ということを続けてきました」
ー在学の時はどれくらい描き、今はどんな生活ですか?
「学生時代は授業を含めたら5時間くらい、わりと夜型の生活でした。今は締切が2週間に1回あって、その2週間のうちに2日休みがあるので、週休1日くらいですね」
「1日の作業時間は6〜8時間、4〜5時間ほどぶっ通しで描いて1時間休むといった具合です」
ー学生のうちにやっておいたほうがいいよ、ということは?
「メンタルの強さだったり、自分を肯定する力だったり、良いところ・悪いところを選別する力を持っておく、ということです」
「当時ネームを完成させられないとき、徳永先生に発破をかけられたことがありました。そんな悔しさをバネにしてやり切りました」
徳永:「相舞みー先生は在学中からストイックさがあり、ダメージを受けた後に「なにを!?」という負けん気の強いところがありましたよね!」
ープロとして続けていける、相舞みー先生なりのポイントは?
「SNSでの発信をしていますが、SNSは作品集のような、ポートフォリオになります。SNSは常に更新していないと誰も見なくなるので、落書きのようなイラストであっても、気軽にアップしても良いと思っています」
「好きな作品の2次創作は、キャラクターデザインの練習にもなりますし、それがモチベーションアップにもつながっています」
■ライブドローイング開始!
さて、ここからがイベントの本番!イラストを描きながら、コツや質問にも答えていただきます。
ラフとなる画像がスクリーンに表示されているなかで、「今日は線画までは行きたいですね…」と、少々控えめに語る相舞先生。まずは手前に見える手から書きはじめます。
徳永:「相舞みー先生が学生のころはアナログが中心でしたが、今の漫画の授業は、フルデジタルです。デッサンもデジタルでやっています。iPadはここ数年で絵を描く道具としての質が上がっており、家にパソコンがない方には卒業後のことも踏まえてiPadをご用意してください、とみなさんに伝えています」
ーどんなことが日々の仕事のプラスになっていますか?
「漫画家やイラストレーターの仲間よりも、漫画に全く携わってない人の意見を聞くほうがプラスになっています。特にキャラクターの種類を増やすときには、そのほうが良いと思っていますね」
「若い子たちと関わる機会も少ないですし、そんなときSNSだったり双方向の媒体を使ってコミュニケーションを取り、『夏休み何するの?』と聞いてみたり。そういったことを漫画に取り入れてみたり、だとか」
ー喋りながらあっという間に15分くらいで線画を描きあげてしまいました!ちなみに早く描くコツってありますか?
「いっぱいモノを見ることでしょうか。手がどういう構造をしているのか、どういう動きをするのだとか。例えば、手を繋ぐ動作は難しいので友達に一緒にやってもらったりとか」
ーどういうものを参考にしていますか?
「友達の絵を血眼になりながら何個もみて。こういうときは、こうしたら良いんだ、とか観察しまくる。自分が上手だと思う人の絵を参考にしています」
「参考にするのは一人に絞ったほうが良いという人と、複数を見たほうが良いという人どちらもいますが、私は絵柄を固めたほうが良いと思います。固めておかないと『どちらの絵柄が良いかな』って、描くときに迷ってしまいがちになるので」
ーファッションについてはどうですか?
「10代、20代が着そうなもの、例えば韓流ファッションなどは、通販サイトを参考にしています。獅子原くんに着せるような服はそこを参考にしたり」
「女性のファッションは色々ありますが、男性は種類が少ないので大変ですね。きっちりしているものか、オーバーサイズかの2択になので(笑)」
ーイラストでのこだわりや譲れないポイントは?
「顔の良さです。それは目に現れるので、その部分はしっかりしたいな、と思います。「完成して一日置いた絵って、『なんか違うな』ってなるじゃないですか。そういう時は『一から描き直す方が早くない?』と思います。そうなるとアタリ(下書きの下書き)の部分から、もつれていたりします。作品をスマホで見ると、全然感覚が違ったりすることもありますね」
「また、デジタルソフトのペンにも、お気に入りの物があります。自分で使って配っている人もいるほどです。色を塗るときのペンと、モノクロで描くときのペンは違いますし、最近ではカラーイラストの際はクリップスタジオに入っているカブラペンで線画を描いています」
徳永:「最近はアナログで描く人はいないですよね。初期投資がどうしても高くなりますから。劣化もしてしまいますし」
〇KADOKAWAマンガアカデミーの良いところ
相舞先生が専門学生だったころの話題がちらほらと出てくるなかで、スタッフの徳永からは、KADOKAWAマンガアカデミーに通うメリットについてのお話もありました。
徳永:「KADOKAWAマンガアカデミーでは、実際に現場でお仕事されている方が講師をされているんです」
相舞先生:「業界に近い、というのは大きいですよね」
徳永:「普通の学校と違って、先生のほうから『アルバイトやってみない?』などといった直接のスカウトもあったりもします。例えばWEBTOONのような、縦スクロールの漫画の制作には多くの人が必要なので、そこから現場に入ることができたり」
徳永:「とある先生からは、『あの子は絶対デビューさせられるから僕が面倒を見てもよいですか?』って尋ねられたりすることもあります。『いいですよ〜』と返事してみたり」
徳永:「そして中目黒の校舎は、多くの企業からも近い場所にあるので、新人さん向けのイベントなどにも参加できますから、ぜひみなさんも積極的にどうぞ!」
〇スクールの活用法について
徳永:「学校に通うときは、自分が上手くできない部分を理解して『私はここの部分が、どれだけできていないんです』と持っていくほうがよいと思います。学費を支払うのは決して安い買い物ではないので、積極的に活用してください」
相舞先生:「どんどん絵を見せて晒してほしいですよね」
徳永:「もし学生時代に自分にアドバイスするなら?」
相舞先生:「構図が自分のなかで未成熟なので、それを練習しなさい、といいますね」
徳永:「ちなみに相舞先生にはアシスタントさんがいると聞きましたが」
相舞先生:「はい、その方は専門学校の後輩で、在学中に捕まえたんです(笑)。人脈を作るって大事ですよね」
徳永:「学校の仲間はライバル、という意識はあると思うんですけど、自分の仕事が立ち上がったときに、手伝ってくれる人を見つけるのは大変なので、他の学科の人とも仲良くしておくのも良いと思います」
相舞先生:「コミュ力いりますよね。でも色んな人に話しかけておくのがよいと思いますね」
〇そして絵は完成へ…
1時間を過ぎたところで、絵は仕上げに差し掛かり…
「袖の影だったりの細かい作業など、そういった仕上げもしっかりと!」
様々なことをお話しいただきながらも、「スピードはいつもと一緒です」といい、わずか1時間強ほどで本イベント向けのオリジナル獅子原くんを描き上げてくださいました。そして最後に日付とサインを描いて終了!
■特別にネーム作業を実演
なんと予定よりも早く終わってしまい、特別に今回はネーム作業を実演していただくことになりました!
「漫画のネーム作業を見せることはないので新鮮です」
ーネーム作業の進め方について教えてください
「ネームに関しては、2〜3日の作業となり、1日目で1話分のセリフを描いて、2日目で構図を作る形です」
吹き出し:「突然だが わたしの幼馴染 獅子原楓太は めちゃくちゃかわいい」
「私はまず先にテキストを入れ、その位置を決めます。テキストは2行が基本となり、5行は読みにくいので絶対にやらないですね。フォントの大きさは写植の方が調整してくれています」
ーネームで重視していることは、ありますか?
「『見せコマ』という一番大きいコマにあたる部分で、『そこをどれだけ綺麗に見せるか』というところが重要です。同じページの他のコマは、その『見せコマ』を魅せるために『ギュッ』と絞り込みます」
「練習方法としては『すでに売り出されている漫画をネームとして書き起こしてみる』『吹き出しがどの位置にあり、キャラがどういう構図でどう描かれているか』を意識すると、勉強になると思います」
ー漫画家になって嬉しかったことは?
「サイン会をしたのですが、『漫画が好きです』『このキャラが好きです』という意見をもらえたことは嬉しかったですね。読者さんのなかには獅子原くんのイメージの服を着て来られる方もいました」
ー自分のキャラ愛を高める方法を教えてください
「獅子原くんはビジュアルでめちゃくちゃ可愛い男の子ですから、そこからこういう中身で、こういうギャップにしたら良くなるかな、とか。逆に百合香ちゃんや、もかちゃんは、中身や性格を詰め込んで、こういう身なりだったらと、ギャップを付けることを工夫しています」
「『好き』をいっぱい描けば、読んでいる側に伝わるので、その点は自分の『好き』を優先したほうが良いと思います」
■イラスト実演からネーム作業、ここでしか聞けないお話も
さて約2時間のイベントのなかでは、司会と先生が、元講師と生徒の関係ということもあって、ほかの講座ではなかなか聞くことができないような話もたくさん出てきて、貴重なお時間となりました。
ー最後にクリエイターの分野に進まれる方にメッセージを
「クリエイターを目指すにはいろいろな苦労や辛いことがあると思います。ですが、諦めると一瞬で終わってしまうので、諦めずに目標に向かって頑張ってください!」
最後は激励のメッセージで締めくくられました。イラストだけでなく、当初の打ち合わせでは予定されていなかった、ネームを切る作業まで見せていただきました。相舞みー先生、ありがとうございました!