【OPEN CAMPUS】声優・熊谷健太郎さん来校!『ダンジョン飯』ライオス役の秘話から、「声優」という職業の魅力までを語る。

KADOKAWAアニメ・声優アカデミーのオープンキャンパスでは、業界の第一線で活躍するプロから実践的な指導が受けられます。
今回のゲストは、ダンジョン飯のライオス役などを務めた声優・熊谷健太郎さん!
KADOKAWAマンガアカデミー・斎藤ゆうすけ講師がインタビュアーとなり、現場の裏側や、声優を目指したキッカケをうかがいます!

―― 今日はよろしくお願いします。さっそくですが、熊谷さんにとって『ダンジョン飯』とは、どういった作品ですか?
熊谷健太郎さん「精神的にも物理的にも自分の世界を広げてくれた作品です。
『ダンジョン飯』関連のイベントで、ロサンゼルス、シアトル、インドネシア、上海など世界を飛び回るようになりました。『作品を観ていますよ』と声をかけていただくことも増えました!」
―― 先々週、KADOKAWA アニメ・声優アカデミーでは『ダンジョン飯』アニメ制作スタッフによるトーク&ライブドローイングイベントが実施されました。その際、宮島善博監督が「熊谷さんには原作を読ませていない」と話されていました。
「監督から『知って芝居をしてほしくない』と言われ、14巻のうち12巻までしか読んでないんです。
監督に会う度に、『読んでないですよね?』と言われます(笑)」

また、モニターには、ライブドローイングでキャラクターデザイン/総作画監督・竹田直樹さんが描いてくださった作品が登場!
しかも、所要時間は1時間弱!と伝えると受講生からは「えぇ!」とどよめきが起こりました。
【1.「声優」を目指したキッカケは】
―― 声優を目指した経緯は?
「中学で興味を持ち始めました。小・中・高とサッカーをやっていたので、サッカー選手、自動車整備士、先生などやりたいことがコロコロ変わるタイプ。でも声優だけは、高校入学後も熱量が変わりませんでした。『声優』というジャンルを知るキッカケは、宮野真守さんの MV でした。『機動戦士ガンダム00』のクレジットにも宮野さんのお名前を見つけて、調べていくうちに『声優』という職業を知りました。芝居経験は、学芸会で演じたくらいでしたが、人並みにアニメは見ていました」
―― 声優を志し、最初に取り組まれたことは?
「高校時代、地元沖縄で開催されていた『実力判定オーディション』に応募したところ準グランプリをいただき、副賞で月1回レッスンも受けられました。
その後高校在学中に上京したかったのですが叶わず、アルバイトをしながら通える県内の学校に進学しました」

―― 声優スクールでの学びは?
「準グランプリをいただき調子にのりましたね(笑)。専門学校の最初の授業でとにかく自分の下手さに絶望しましたね。学生時代はとにかく声優になるためには、を手当たり次第調べて実行してを繰り返していました。」

―― 講師のアドバイスで印象的だったことは?
「恩師の先生に、『声優になりたいなら東京へ行ったほうがいい』とアドバイスされました。
専門学生時代は、放課後に友だちがご飯に行っているときも、目標に近付くためのことを優先させていました。
でも、現場で必要なものは全然わからないから、神谷明さんの本を参考に、滑舌練習や発声練習をやったり、ゲームをプレイ中に台詞が出るところを音読したり、声に出せることはなんでもやっていたと思います。学校や養成所で練習しているだけで足りなかったですし、楽しかったからやっていました」

【2.キャリアを振り返って、大変だったこと】
―― 声優としてキャリアをスタートして、感じたことは?
「事務所に所属した当初は、とにかく仕事がなかったですね。
どういう声質なのかをマネージャーさんたちに知ってもらうことから始めないといけませんでした。用事を見繕って事務所に行き、マネージャーさんやデスクの人たちに話しかけることから始めました。人間対人間の仕事なので、まずは自分を知ってもらうように努めました」

―― 現場に行き始めたときの感想は?
「アニメやゲームに詳しくない僕ですら、『わぁ!』と思う先輩方が現場にいらっしゃいました。
挨拶にも作法がありますし、周りをとにかくよく見て観察、観察でした。初仕事は……もう時効だと思うのですが、マネージャーさんに『ドラマCDいける?』と言われて、『はい!』と言ったものの、実は初めてで。
製本された台本ではなく紙の束を渡されて驚きました。音を立てないようにめくるのですが、他の声優さんのマイクワークをつぶさに見て学びました。慣れてくると、少しずつ先輩に質問できるようになっていきました。いまでも新番組1話とか、手が震えるときがあります。緊張を緊張として認められるようになったのがここ最近です」
【3.声優という仕事の魅力は?】
―― 声優というお仕事のどんなところに魅力を感じますか?
「変身願望ではないですが、自分以外の何かになりたかったです。1クール12話、2クールなら24話あるので、日々誰かの人生の一端を味わわせていただけるのは楽しいです。
コロナ禍は、分散収録を余儀なくされましたが、いまは人と一緒に芝居することができます。自分の台詞に対してレスポンスがきて、相手とのセッションで自分でも想像していなかったニュアンスが出てきたりもします。また、キャラクターたちのおかげで、海外に行き、監督にイジられたりすることも(笑)、仕事の楽しさや魅力だと思います!」
―― 役作りで大切にしていることは?
「どういう出自で、どんな経験を経てここに来たのか、道筋を作ることです。自分なりに考えて、キャラクターの背骨が固まっていると、他のキャラクターとの対話でも出てくる表現が面白くなります」

―― バックボーンがあることで、相手役に対して返す表現も豊かになるんですね。
「そうなんです。声から作ろうとするのはやめました。もちろん、音を作ることが求められるときもありますが、できるだけ距離・風景など情景を思い浮かべるようにしています」

【4.声優を目指す皆さんへアドバイス】
―― 改めて、声優を目指す皆さんへアドバイスをいただけますか。
「あえて“好き”以外を観て聴く機会を増やして。『やりたい』と『やれる』は、違ったりもします。自分が好きなものは主軸として楽しみつつ、幅広いジャンルに耳と目で触れておいて。好きな表現に偏らないよう、映画・舞台・落語、歌舞伎、活字など幅広いエンターテイメントを見ることで表現の幅も広がります!」

最後は、受講生からの質問タイム!
―― 喉の調子が悪いときはどうされていますか?
「これ以上悪化させないように対策すること、行けるならすぐ病院に行くことでしょうか。ちなみに余談ですが、僕は喉より鼻のほうが仕事に影響が出まして。保湿したり、鼻うがいもしたりしていますが、悪化しそうなときは、ためらわずに病院を受診します」

―― 事務所の所属オーディションで意識したことは?
「所属するまでに計3回の審査がありました。事前にどんなテストをするかは教えてもらえないので、対応できるように日本語読解力は磨きました。また、挨拶一発目は、お腹から声を出して落ち着くようにしました。自分なりの解釈をアウトプットする練習をしてみてください。……と言いつつも怖かったなぁ。俳協がダメだったら、故郷・沖縄に帰ろうと思っていました」

―― いちばん印象に残ったオーディションの体験談は?
「某作品で、スタジオオーディションに行ったときに、喉の調子が最悪でしたが全力でやりました。熊谷くん、別の役もやってくれる?とリクエストされ、結果受かったことがありました。現場の受け答え、地の喋り声なども総合的に見て役が決まることがあります。油断するなよ~!」と笑いました。

最後に、「皆さんの今後の頑張りの“キッカケ”になれば幸いです」とエールを送りました。
声優業界、アニメ業界を志す人にとって、学びの多い時間となりました!
熊谷さん、貴重なアドバイスをありがとうございます!

トップクリエイターから直接指導を受けられるのも、KADOKAWAアニメ・声優アカデミーで学ぶ価値のひとつです!
声優やアニメ業界に興味のある方は、この機会に是非無料のスクールパンフレットを取り寄せて詳細をチェックしてください!