『ダンジョン飯』アニメ制作スタッフによるトーク&ライブドローイングイベントを実施!監督・宮島善博さん、キャラクターデザイン/総作画監督・竹田直樹さん、アニメーションプロデューサー・志太 駿介さんが来校!

イベント
東京校
アニメ学部

KADOKAWAアニメ・声優アカデミーでは、オープンキャンパスを実施しています。「現役プロ講師による実践教育」を体験していただくべく、オープンキャンパスでも業界を代表するプロフェッショナルから学ぶことができます!

今回のゲストは……漫画誌ハルタ(KADOKAWA)にて連載されていた『ダンジョン飯』の TV アニメを手掛けた株式会社トリガーのアニメーション監督・宮島善博さん、キャラクターデザイン/総作画監督・竹田直樹さん、アニメーションプロデューサー・志太 駿介さん。

アニメ制作現場の裏側や、業界を目指したキッカケをうかがいます!

左から志太さん、宮島さん、竹田さん

インタビュアーは、KADOKAWA マンガアカデミーの斎藤ゆうすけ講師が務めます。

【1.アニメ業界のお仕事について】

―――皆さんのお仕事について教えてください。

宮島さん「アニメの監督は、端的にいうとOKとNGを出す仕事です。音楽や声優さんの演技なども判断します。得意不得意に関わらず判断するので、それなりの勉強が必要になります。
そして『ダンジョン飯』の正解の絵を描く、その指針を決めるのが竹田さんです」

竹田さん「自分以外の人にも、『ダンジョン飯』を描いてもらう必要があります。色々な絵があがってくるので、キャラクターデザインでは、監督の意向を含めて全体のラインに沿うように形を整えます」

志太さん「プロデューサーは、作品のスケジュール感や、監督と一緒に作品を成立させるために大枠を組み立てます。誰にお願いするか、人選をすることもあります。
美術、撮影、色彩などさまざまなセクションとやり取りを行うので、人の話を聞き、先方のニーズをくみ取り、解決する力が大切です。現実的な提案に着地させるのもプロデューサーの仕事です」

【2.アニメ業界を目指したキッカケ&具体的なお仕事とは?】

ここからは、竹田さんによるライブドローイング(その場で絵やイラストを描くこと)をスタート。あの人気キャラクターを描いてくださいます。

――― なぜアニメ業界を目指したのですか?
宮島さん「24 才くらいで上京し、学生時代のツテで実写映画の現場にも参加していました。
TRIGGER で募集があると知り、勢いで入りました。大学のときから、アニメのショートフィルムも制作していました」
竹田さん「大学の就活で、絵を描く仕事はないかな?と探していました。そこで、アニメの仕事がいけそうだぞ!と思って目指しました」

――― 絵は勉強されていたのですか?
竹田さん「初めは独学でやっていました。好きなアニメの模写をしたり、目の前のことに一生懸命でした。どれが実を結んだかと言われると難しいですが、食わず嫌いはせずに、なんでもトライしてみようと思っていました」

志太さん「大学 3 年生のとき映画を撮る授業が楽しかったんです。映像業界に興味を持ち実写映画の現場にお邪魔させていただきましたが、体力仕事で続けていけるか見えませんでした。そんなとき、TRIGGER の新卒『制作進行』募集で採用いただきました」

――― 「制作進行」とはどういったお仕事ですか?
志太さん「各話のプロデュースをする感覚です。TV シリーズの話数担当として、アニメーターを集め、各セクションとやり取りする際の窓口になるのが最初の仕事でした。アニメーションの制作工程を知ることができますし、業界の用語も、仕事をしながら覚えました。『制作進行』を経験してから、監督になる人もいます」

宮島さん「絵を描けないけれどアニメーション業界に入りたいという人は、制作進行として業界に入る道もあります。色んなセクションの人にも会えるので勉強できます」

【3.『ダンジョン飯』制作秘話】

――― アニメ化するうえで大切にしていることは?
宮島さん「『ダンジョン飯』を読んで、感動しました。なので、アニメで初めて作品を見る人にも、マンガを読んだ人と同じように毎話、感動してもらうことを意識しました」

――― 「魔物食」が美味しそうに見えるぞ!と驚きました。描くときに大事にしていることは?

宮島さん「『魔物食』のイメージを作るところが始まりました。もみじ真魚先生が快く引き受けてくださり、質感も一緒に考えてくださいました。全部美味しそうなんですが、お気に入りは、23話の『グリフィンのスープ』。馬を水と塩で煮込んだだけなのに、美味しそうに見えます。あんまり美味しくないという結論なんですが、本当に食べられそうな気がします」

グリフィンのスープ(制作素材のため、ぼかし処理をしています)

志太さん「『大サソリと歩き茸の水炊き』が好きです!美味しそうという要素に、モンスターが食材になっているというバランス感がとても取れていると思います」

大サソリと歩き茸の水炊き(制作素材のため、ぼかし処理をしています)

――― 描写では「会話中のリアクションも大切にされている」とうかがいました。
宮島さん「普通、告白シーンの場合、『愛しています』と喋っている人を見せたくなります。
僕は、受け手がどういう表情をしているかその表情変化を大切にしたいんです」

絵コンテ(制作素材のため、ぼかし処理をしています)

――― キャスティングの過程についても、教えてください。
宮島さん「1つの役に100人くらいの候補者からテープが送られてきます。2回目はスタジオオーディションです。通常はスタジオオーディションでOKになりますが『ライオス』だけは、何人かに残ってもらい他の声優さんと喋ってもらって、熊谷健太郎さんに決めました。

皆さんプロなので、演技は甲乙つけがたいほど上手です。誰がいちばんライオスに似ているか?を考えたときに、熊谷さんだけ端に座っていたんです。周囲とわきあいあいとするのとは違う空気感を、図らずとも出していらっしゃったのがライオスのキャラクター像と重なり、熊谷さんに決めました」

【4.アニメ業界を目指す人にアドバイス!】

宮島さん「アニメは、絶対に絵です。アニメ業界に就職したくて、若いうちにリードできることがあるとしたら、今日帰るときに『パース』※と書かれた本をなんでもいいから買ってください!そこをおさえておけば、煩わしさから抜け出せます」
※ 物体の立体感や奥行きを表現するための技法

竹田さん「パースは大切です。キャラだけの絵でも、パースがちゃんとあります!」

志太さん「監督も絵を描けないとは言っていましたが、知識はあります。僕も絵を描けませんが、なぜこの絵を直さなくてはいけないか?作業者がどこで悩んでいるかなどは理解して考えています」

【5.参加者からの質問に答えます!】

―――キメラファリンやレッドドラゴンとの戦闘シーンについて。どうやって“ヌルヌル”と滑らかに見せたのですか?

宮島さん「作画がいいというのもありますし、アニメーターが頑張っています。キメラファリン戦は、そんなに枚数がかかっていません。カットが切り替わるタイミングで動いているように見えるので、映像作品としての面白さがよく出ているシーンかもしれません」

―――制作を進めていく中でiPadもしくは板タブの大きさなどにこだわりはありますか?
竹田さん「会社では、デスクトップPCで、液タブを使っています。ただし、iPadで描いている人もいますし、自分が使いやすいもので良いと思います!」

宮島さん「弘法筆を選ばずです」

―――アニメーターとしての必須スキルを教えてください。
宮島さん「絵がうまいことは大前提として、ポートフォリオを作っていただけるなら、キャラ以外のものがどれだけ描いているかを見ます。もうひとつは、背景に対して人物がパース通りにのっているか。いいレイアウトで、パースとして成立していて、“いい絵”が描けているかを重視します」

【6 .ライオス&マルシル、現る……!】

また、約50分という短時間で、竹田さんがライオスとマルシルを描いてくださいました!

「話しているのかな?というのがわかるようにしてみました。マルシルはツンとしたイメージのあるエルフという種族ですが、彼女は表情がコロコロ変わります。表情変化は強く意識しました」と竹田さん。

――― 最後に、アニメ業界の未来を担うメンバーに向けてメッセージをお願いします!
竹田さん「業界に来ていただけたら嬉しいです!」

志太さん「アニメーション制作の仕事は楽しいです。労働環境や生活のしやすさは、かつてよりも上がってきていると思います。
制作志望の人は、在学中に、集団制作でもいいし、10人の飲み会を開いて幹事をするとか『仕切り』をやることをオススメします!」

宮島さん「今は土日休みですし、アニメを仕事にすると楽しいとわかってほしいです!絵の上手さなど、自分の力さえ磨けば、好きなことを仕事にして暮らせる、最高の職業です!」とエールを送りました。

アニメ業界を目指す受講生にとって、大変学びの多い時間になりました。

トップクリエイターから直接指導を受けられるのも、KADOKAWAアニメ・声優アカデミーで学ぶ価値のひとつです!
アニメーターやアニメ業界に興味のある方は、この機会に是非無料のスクールパンフレットを取り寄せて詳細をチェックしてください!

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